在原行平と松風・村雨の伝説 鏡の井

在原行平と松風・村雨の伝説とは、松風と村雨という二人の娘が去っていった高貴の恋人在原行平を偲ぶという、能の名曲『松風』にも取り上げられた話です。

松風・村雨は平安時代、須磨に暮らしていたという伝承上の姉妹のことです。

姉妹は神戸市須磨区の多井畑に暮らしていた村長の娘たちで、本来の名は「もしほ」と「こふじ」という名でした。

二人が須磨へ塩を作るために海岸へ汐汲に通っていたところ、天皇の怒りに触れ須磨へ流されていた在原行平に出会い、行平は二人に「松風」「村雨」と名付け愛しました。

しかし、3年後、行平が天皇の許しを受け都に帰ることになり、この二人の女性と悲しい別れをすることになりました。その際、行平は小倉百人一首収録の「立ち別れ いなばの山の 峰に生ふる 待つとし聞かば いま帰り来む」の歌を詠んだものとされています。

須磨に配流された行平が海女と歌を交わす短い説話は、浄瑠璃や歌舞伎、近代には映画などにも取り入れられました。


鏡の井
鏡の井
在原行平と松風・村雨の伝説に関する場所として神戸市須磨区多井畑には、その二人の姉妹、「松風」と「村雨」がここに来て水面に写る姿を見て、化粧をしたという「鏡の井」と呼ばれる泉があります。

その一体は、多井畑字畑殿とよび、二人が育った館の跡だと伝えられています。



<アクセス>
JR・山陽電鉄「須磨駅」下車 「須磨駅前」バス停から市バス71・72系統「多井畑厄神」下車 西へ徒歩約3分

市営地下鉄「妙法寺駅」下車 「妙法寺駅前」バス停から市バス88系統「多井畑厄神」下車 西へ徒歩約3分

市営地下鉄「名谷駅」下車 「名谷駅前」バス停から市バス74系統「多井畑厄神」下車 西へ徒歩約3分