山本周五郎文学碑

今回は、映画やテレビドラマだけでなく、舞台、オペラ、漫画など様々な方面で題材にされる作品を書いた小説家、山本周五郎さんの石碑を紹介いたします。

山本周五郎さんで須磨、と言えば彼の処女作である「須磨寺附近」です。
これは青木という友人を頼って神戸に来た青年、清三がそこで出会った年上の女性、康子に淡い恋心を抱く心情が綴られた作品です。

須磨寺を舞台に、山本周五郎さんが感じた女性の謎、そして「生きる目的」という山本文学の大きなテーマとなるキーワードがこの作品で生まれました。

須磨浦をよく知っている方ならば尚更、興味を持っている方に是非読んでいただきたい作品です。
また、この作品は山本さんが関東大震災で東京の自宅を失った際、旧友を頼り須磨へと5ヶ月滞在していたという実体験をもとに描かれたと言われています。

そんな作品の舞台となった須磨寺には山本周五郎さんの石碑も建てられています。

山寺周五郎碑

「須磨は秋であった」
(処女作『須磨寺附近』から)

「貧困と病気と絶望に
  沈んでゐる人たちのために」



表面には「須磨寺附近」の一節を、裏の言葉は読者への遺言とされる文が刻まれており、彼の作品には裏面にある通り「貧困と病気と絶望に沈んでいる人たちのために幸ひと安息の恵まれるように」という想いが込められています。

山本周五郎さんのファンの方や、現代でも愛されている山本周五郎さんの作品に興味を持った方は是非一度、須磨寺にある石碑を訪ねてみてはいかがでしょうか?